遊びの定義について 1
ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』の第一章を簡潔に解説してみます。
様々な出来事や現象をすこしでも、学問的に考えようとすると、その言葉や概念の定義が必要となります。
では、定義とは、なんでしょうか。
「デジタル大辞泉」では、「物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明瞭に限定すること」であるといいます。
また、「論理学で、概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること」といいます。
2番目の概念のほうが、学術的なので、そちらをさらに解説します。
内包とは、その概念のもっとも中心となる意味や特性のことといえます。それに対して、外延は、どこまでがその概念に属するかの境界を定めることといえます。
経営学の用語では、ドメインと近似した概念といえます。
直接的には、範囲や領土のことですが、商品や事業では、その広がりや範疇を示しているといえます。
このドメインの策定は、企業の事業や商品戦略の基礎をなします。
このドメインは、もっとも広いものからもっとも狭いものまであります。
定義の言葉に戻すと、最広義、狭義、最狭義などのように、定義づけの範囲を任意に確定させます。
さて、定義の話を、遊びの定義のほうに、もっていきます。
ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』の第1章で、遊びを定義づけています。
第一は、「自由な活動」であることです。誰からも強制されない活動であるといいます。
第二は、「隔離された活動」であるといいます。時間と空間に制約があるものといえます。
第三が、「未確定の活動」です。結論が最初からわかるようなものではないということです。
第四が、「非生産的活動」です。勝ち負けで財は移転しても、物はあらたに生み出さないものといいます。
第五が、「規則のある活動」です。ある程度の規則が内在しているということです。
第六が、「虚構の活動」です。日常との対比において、仮想の現実であるといいます。
具体的な内容は、第二章で述べられています。
ここでは、遊びの定義というよりは、むしろ、遊びが成立するための条件のようなものです。
本文でも述べられていますが、なんらかの定義によって、すべての事象が整理され、含みみ込まれることは、社会科学では、むつかしいでしょう。
また、社会で生起する事象は、つねに動き続けているので、それにあわせて定義も変化することもおおいにあるといえます。