マクロ経済学第13回 乗数効果
乗数効果(multiplier effect)とは、「経済現象において、投資や政府支出などの経済量の変化が他の経済量に波及的に変化をもたらし、最終的にはもとの何倍かの変化を生み出す効果」のことをいいます(『デジタル大自辞泉』より)。
ここでは、国民所得を第一式とします。すなわち、海外部門は入らないモデルです。
Yt = c(Yt – T) + c0 + G + I ・・・・・・・①
第一式のYtは、ある年度の国民所得を表すとします。ここで、ある年度の翌年度は投資が、ΔIほど増加したとします。この場合の国民所得は、(Yt+1)と表します。翌年度の式を作ると第二式のようになります。
Yt+1 = c(Yt+1 – T) +c0 + G + I +ΔI ・・・・②
第二式から第一式を引くと、第三式となります。
Yt+1 – Yt = c(Yt+1 – T) – c(Yt – T) + ΔI ・・・③
さらに、まとめると、第四式となります。
(1-c)(Yt+1 – Yt) = ΔI ・・・・・・④
ここで、(Yt+1 – Yt)は、1年間の国民所得の増分ですから、ΔYに置き換えると、第五式となります。
(1-c)ΔY = ΔI ・・・・・・・・・⑤
これをさらに変形すると、
ΔY = 1/(1-c)ΔI ・・・・・・・⑥
ここで、cは、限界消費性向なので、 0<c<1 となります。
結論ですが、最初の定義通り、投資が一単位増加すると、国民所得は、1/(1-c)倍増加します。たとえば、cが0.9でしたら、投資一単位の増加によって、その10倍、国民所得が増加するということになります。