第24回 リスク回避者
これまでも何回かみてきたように、リスクは被害であり、効用が低下することなので、誰しもリスクは避けたいものです(リスク愛好者は別)。しかし、情報の不確実性は必ずあるので、リスクは避けられないのです。
そこで、保険という制度(システム)を使って、すこしでもリスクを減らしたいと多くの人は考えます。
とくに、リスクを恐れがちな日本人は、保険におおいに加入することになるのです。
それを図表を使って解説してみましょう。
図表の曲線(青い線)は、個人の効用曲線を示しています。
この図表は、現実の所得と効用との関係を示しています。効用が所得の増加に対して、カーブが緩やかになっているのは、効用の逓減を示しています。それに対して、赤い線は、期待効用を示しています。その直線上にある不確実なA点は、その上にある確実なB点よりも下にあるので、リスク回避者のモデルであることを示しています。
ここで、期待効用は、X点と同じ効用となっています。ということは、A点の不確実な50の所得から得られる効用よりも、Xという低い所得から得られる確実な効用とは等価ということなのです。
ここで、50からXをひいたものを「リスクプレミアム」と呼び、その範囲内に保険料があれば、人々は、保険料を払っても保険に加入することを示しているのです。