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マクロ経済学第71回 資料編10

 今回も、文部科学省『科学技術白書令和2年度版』の資料を使って、技術と社会経済との関係を考えてみたいと思います。

 この世の中に存在する技術・技法・ノウハウは、無数に存在するといえるので、全体像を俯瞰することも必要でしょう。そこで、図表1と図表2のような技術マップを取り上げます。令和2年度の白書なので、このような図(フレームワーク)としては、もっとも新しいものといえます。

 図表1は、「未来に繋ぐ科学技術領域」というタイトルです。AI関連技術を使い、テキストマイニングの技法で、言葉のクラスタリング化をしたようです。

        図表1 未来に繋ぐ科学技術領域

[文部科学省『科学技術白書令和2年度版』より引用]

 ここでは、8つの領域で構成されています。ただし、第一の領域がいわば目的変数で、第二から第八までが、技術革新による説明変数のようなものです。詳しくは本白書をお読みいただくとして、技術としては、「バイオ」、「精密な計測と解析」、「素材開発」、「電子量子デバイス」、「観測システム」、「資源管理」、「自然災害の予測」となっています。

 筆者は社会科学系(文科系)なので、詳しくは分かりませんが、すべて未来の基礎技術としては重要なものばかりかと思います。

 日本の科学技術のなかでも基礎研究は、ノーベル賞も多数輩出しているように、高い水準にあるといえます。今後も大いに、日本政府・自治体も、できうる限りの研究支援をしてほしいと思います。

 一方、このコラムにあるように、日本経済の成長は、絶対的かつ相対的に停滞していることも事実です。こちらは、応用技術または商品化技術さらにはマーケティング科学のようなものがより寄与率が高いようにも思えます。これは科学技術と経済学(経営学)との融合・複合領域的課題なので、あまり進んでいないといっていいでしょう。

 その一例となると思いますが、私どもの研究室の大学院生が修了論文で、世界的ICT企業の特許取得の流れを調べたところ、基礎より応用的特許技術の取得の割合が年々高まっていたという結果を得ました。これからみると、どの領域課題かによって、技術の最適配分は変わるべきであるといえます。

 そこで、図表2では、専門家等によって、社会経済との関係性から課題解決型の新技術を導き出しています。

        図表2 目指すべき社会の姿

[文部科学省『科学技術白書令和2年度版』より引用]

 これも詳しくは白書本体をお読みいただくとして、すべての技術は、「IoT・BigData・AI」およびその端末としてのデバイス(センサーやアクチュエータなど)に収斂させてもいいかもしれません。

 もっと言い切れば、「AIとインターネット技術」です。

 そこで、本マクロ経済学のコラム執筆後は、「AIとインターネットの経済学」のようなものを書いてみたいと思います。

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