第4回 財について
市場取引に使われる価値のあるモノを、経済学では、「財(goods)」といいます。
ただし、一般的には、「財とサービス」と表記することも多いのです。この場合は、有体物を財とみなし、無体物をサービスと考えています。財と一言で表した場合は、両者を含めています。
財の定義は、「人間の欲望を満たすものであり、人間が処理・管理可能なもの」とされています。
人間にとって、欲望を満たすものでも、法で禁止されているものや人に不利益をもたらすようなものは、「バッズ(bads)」という場合もあります。公害がその典型です。さらに、前述した希少性も前提となっています。そこで、空気のように、人間が生きていくには欠かせないものでも、希少ではないものは、財にはいれません。それらは、財の対義語として、「自由財(free goods)」という言葉で呼ばれています。
つぎに、処理または管理可能でないものも、財の範疇にはいれません。たとえば、大自然の景観や夜空の星々が、いくら美しく、人々の美意識を満足させるものでも、人の管理や処分ができないので財とは言わないのです。これは、その対象が市場で取引可能かという観点で考えています。
ミクロ経済学では、以上の前提を満たしたうえで、様々な財の市場取引を考えます。
ただし、気をつけることは、様々な財の議論を今後していきますが、ひとつの市場の取引においては、「同質の財」を考えるということです。質が異なれば、別の市場が形成されると考えます。