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総合システム論 第18回 究極の二項対立

 前回、冷たい社会と熱い社会という2項対立的な社会観を考えました。

 この対抗概念では、2項なのですが、熱い社会といっても、どの程度熱いのかという問題もあるでしょう。これに関しては、第15回の二項対立的思考のなかでも触れたのですが、ここでは、究極な2項対立を考えてみたいと思います。

 それは、情報科学でいう、「ビット(bit)」を巡ってです。

 ビットの定義は、「情報量の最小単位で2つの選択肢から1つを特定する情報量」であると考えます(「IT用語辞典e-words」より)。

 2ビットなら、4状態(2)を表すことができ、3ビットなら、8状態(2)を表せます。このように、2 であれば、2のn乗個までの選択ができます。なお、バイト(byte)は、8ビットのことを言い、ギガバイト(GB)は230です。 

 数学者であるアラン・チューリング(Alan Mathieson Turing,1912-1954)は、「チューリングマシン」(1936)という数学的モデルを考案しました。これは、自動計算ができる機械の思考モデルで、現在のコンピュータと同じ原理であるといわれています。

 ここで、2項対立の問題に戻りますと、冷たい社会を0とすると、熱い社会は1となり、1ビットといえます。しかし、熱い社会は、現代社会であり、その時空間でかなり異なる社会的特徴をもっています。熱い社会では、あまりにも単純すぎて、社会実体の状況や構造は把握できません。そこで、2個の桁を持つ情報量であれば、社会実体をかなり表現できといえます。

 こうなると、2項対立ではなくなりますが、逆に、無限の経済社会的な差異を表現できることになります。しかも、1次元の上に、配列することもできます。直線状に1から、遠くにある社会もあれば、1に近い社会もあることになります。

 ただし、直線では、理解しづらいので、社会科学では、2次元で考察することが多いのです。もちろん、3次元、4次元でも表現可能ですが、人間にとって理解しづらいので、2次元が多く用いられます。

 ミクロ経済学の場合、2次元の場合、横軸(X軸)に、生産量(販売量)Qをとり、縦軸(Y軸)に、価格Pをとることが多いのです。ただし、その変数に何を入れるかは、任意ですので、無数の変数の組み合わせが表現できることになります。

 ここで、社会経済は極めて複雑な要因から構成されていると考えると、様々な要因とそのなかの膨大なデータをAIによって分析すると、これまで人間ができなかったような命題や法則が導き出せるかもしれません。ビッグデータを使った、社会予測やマーケティング分析も可能となりつつあります。ただし、どのようなデータをインプットすれば、最適な結果が得られるかは、いまだに、人の手(頭)にかかっている状態です。

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